日々の雑文

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【母の首を締めた…26歳の娘逮捕】のニュースで思うこと

この手のニュースは胸が痛みます。

 

母の首を締めた…26歳の娘逮捕、母親を殺害した疑い 2人暮らし、数年前から介護「疲れた」/大宮東署

 https://www.saitama-np.co.jp/news/2020/05/08/04_.html 

 

 

私は23歳の頃、父の闘病生活を支えていました。私の場合は約1年間と、親の介護などをされている人と比べたらかなり短期間ではありましたが、「一体この生活がいつまで続くのだろう」と暗い気持ちになることもよくありました。

 

当時の私は大学を卒業したばかり。就職氷河期真っ只中の煽りを受け(今思えばそれは言い訳でしかなく、就職しようという気持ちで真面目に活動していればちゃんと就職できたと思う)、地元に戻ってフリーターだった私は、親のガン発覚により親の闘病を支えながら働く生活に突入した。私は父と二人暮らしで、親戚縁者は近隣にはいなかった。

友人たちも同じく大学を卒業したばかり。仕事に遊びに忙しい時期。当然話は合わない。

そのため、あの頃連絡を取っていた友人は二人だけ。

大学時代の元カレと地元の親友だけなのだが、地元の親友にだって滅多に連絡は取らなかった。というか、取れなかった。

私の話題は先の見えない父の症状や、父との生活の鬱々とした愚痴。かたや友人は、新社会人としてキラキラと奮闘する日々。友人だって私なんかと話したくないだろうし、私も友人と話したくなかった。

唯一毎晩電話で私の愚痴を聞いてくれたのは二つ年上の元カレ。彼だって社会人2〜3年で、本当に楽しい時期だったに違いない。それでも夜な夜な私の電話の相手をしてくれていた。私にはそれが本当に救いだった。彼には今でも感謝してもしきれない。もう連絡は取れないけど。

外部との接触はそのくらい。あとは、父の病院の看護師さんとか。

 

父の場合は治療のためにしばらく入院したり、症状が落ち着いている間は退院して通常どおり仕事をしたりと、わりと変化が多かった。それも今思えば救いである。

父の退職日は死亡した日。彼が死ぬまでエンジニアであり続けたことは、彼自身の誇りであり、遠まわしに娘の自己満足でもある。

葬儀場から火葬場へ遺体を搬送する際、遠回りではあるが父の会社を通っていってくれたこと、その粋な計らいと、父の会社の方々が会社の前で出迎え、見送ってくれたことは、これもまた遺族として感謝してもしきれないことであった。

 

話は逸れたし、なぜか「感謝してもしきれないこと」をしきりに思い出してしまうのですが、

詰まるところ、父の闘病を支える生活はそれなりにキツかったということです。

 

父本人が辛いのは当然だけど、それを傍で見ている人間(=私)も辛い。

父本人はいろいろとストレスが溜まったり不安になったり苦しんだりする。

それはダイレクトに私にくる。

私自身はアルバイトをしながら、父の暮らしを支える(主に食事を作るなどの家事を行う)わけだが、本当は就職がしたい。

周りは着々と社会人として歩みを進めているのに、私はずっと進むことができない。ものすごいジレンマだった。

当然父だって娘を苦しめていることはわかっている。しかし、赤の他人が闘病を支えてくれるわけでもないし、娘を頼らざるを得ないし、残された時間を娘と過ごしたかったと思う。ちなみに、実は兄が二人いるのだが、兄達にも仕事があったため、頼りにくかったと思われる。たまたま私がフリーターだったから良かったんだけど、フリーターだから頼ったのか、女だからどうにでもなるだろうと思って頼ったのか、知る由もない。

 

そんなこんなで、26歳の女性が母親を殺めてしまったこのニュースは、状況が想像できるので本当に心が苦しいのである。

26歳。ほんとに、誰にも相談できないし、誰にもわかってもらえない悩みを抱えていたと思うんですよ。

 

年をとっていればいいってものでもないけど、若年者が介護で犠牲になるのは本当にもったいないし苦しいもの。あのキラキラとした日々が鬱屈した毎日に掻き消されてしまうなんて、母親も苦しかっただろう。

 

当時23歳だった私に、病院の人たちは皆口を揃えて、「看護師になりなよ!あなたならできるわよ!」って言ってくれたなぁ。今思うと、それも本当にありがたい話なのよ。

病院の人たちは、医師、看護師、介助してくださるいろんな方々、本当にみんな優しくて、言葉を慎重に選びながら、常に患者である父、患者の家族である私に寄り添ってくれたなぁ。本当に尊い仕事。このコロナ禍でもみんなが言っているように、医療従事者のみなさんには感謝してもしきれない。

 

26歳。辛かっただろうな。

少しでも救いがどこかにあれば良かったのだけど。