日々の雑文

アラフォー独身OLが生き方に惑ってるブログです。

ATSUGIタイツの日の炎上について

昨日11月2日は「タイツの日」なのだそうだ。

そこでストッキングメーカーのアツギさんが「#ラブタイツ」企画を実施。

様々なイラストレーターさんがタイツをはいた女性を描くというものである。

これが“女性を鑑賞物として扱っている性的消費だ”として炎上したということらしい。

 

私がこれを知ったのが本日11月3日。

昨日もTwitterを眺めていたというのに全然気付かなかった。

強めの論調が飛び交っている。そもそもどんなイラストが上がっていたのかまずは見てみよう。

こちらのサイトが見やすくまとまっていると思います。↓

matomame.jp

 

これは・・・、いつかの、東京メトロ駅乃みちか』萌え絵炎上事案と似ています。

こちらの方が書かれたブログがわかりやすいと思います。↓ 

zatrendnews.com

 

 

アツギ件に戻ります。

 

これは、炎上納得です。

 

私もタイツをはく女の一人として、「#ラブタイツ」イラスト群を見て嫌悪感を覚えました。

中には嫌悪なく見られるものもありますが、タイツをはいていなければ完全にパンツが見えるであろうシチュエーション、太ももがあらわになっている絵はアウトだと感じました。“タイツの良さ”ではなく、女性の肉体にフォーカスされていると思います。

“タイツをはいていることで無防備になっているカワイイ女子”を描いたのだろうと思いますが、フェチを見せつけられているようで引いてしまいます。タイツって股を隠すためにはいているのではないですし、タイツをはいたからって見せてOKではないですよ・・・?

それに、タイツにしては随分薄くはないですか? 30デニールくらい? 完全にストッキングを描いているものもありますし、黒以外のカラータイツが皆無な時点で、「#ラブタイツ」企画としてよく練られていない感(=女性にとってのタイツの良さを訴求していない)は否めません。

 

こういう絵を見て男性が喜ぶのか、はたまた男性を喜ばせる目的で描いたのか全くわかりませんが、“エロい目線”で描かれたことは事実でしょう。

「エロのつもりではない」と主張されるかもしれませんが、各種ハラスメント同様、受け手側がエロいと感じればエロでしょう。本来女性が見せないようにしている箇所を、男性に都合よく意図的に見せていますし。

「これをエロだと思って見る方がエロいのではw」と勝ち誇ったように嘲笑しているコメントも見受けられますが、これをエロと認識できない人は、タイツ一枚で公道を歩くことをいとわないタイプの人なのでしょうねわかります。

 

世の中のエロや嫌悪の境界線は曖昧で、人によって異なります。だから日夜様々なトラブルが起きています。

しかしこの件に関して意見を述べている方々の多くは、“タイツをはいた女性をエロい目線で見ている人”を糾弾したいわけではないと思います。

これらのイラストがエロいことはまた別問題で、この炎上は論点が違います。

 

「タイツをはいた女性をカワイイと言うだけで炎上してる。フェミニスト怖い!」

と、問題の本質をはき違えているコメントも散見されるのも炎上に拍車をかけています。本質を理解せずにフェミニストを叩きたいだけのアンチ達。

タイツをはいた女性が好きな人は、引き続き好きでいればいいし、自由に描けばいい。それを誰からも批判されることはないでしょう。

 

炎上の理由・問題の本質は、アツギ社がこの企画を行ったことです。

 

“タイツをはいた女性をエロい目線で見ている人”の存在を、タイツメーカーであるアツギ社が推奨しているわけです。

タイツのユーザーは主に女性です。現に「#ラブタイツ」のイラスト群は女性のイラストしかありません。女性の中にはエロく見られるためにタイツをはく人もいるかもしれません。しかし、多くの女性はエロく見られたくてタイツをはいているわけではありません。

「タイツはいてるの!? エッチだね。はぁはぁ」と反応する人がいたら通報ものです。タイツは、ガーターベルトTバックとは違います(これらには機能的な目的もあるので、その目的で活用されている方には心外かもですが・・・)。

タイツは決してエロいアイテムではないのです。

 

これが、“ATSUGIから出た新ラインナップ、エロをコンセプトにした商品”のPRであるならばわかります。特定の商品「エッチな魅せタイツ」とかね。(そんなん売れるのか知らんけど)

この「#ラブタイツ」はそうじゃない。タイツ全般のことをラブだと言っています。

その上で、本来は特別エロを感じさせるアイテムではないタイツの存在に、わざわざエロを感じさせるアイテムだという気付きを与えてしまったのです。

 

例えば、肩掛けのショルダーバッグが食い込んで胸を強調してしまう「パイスラ」のような気付きです。これだって嫌悪を感じている女性は少なくないと思います。胸を強調するためにショルダーバッグを使用しているわけではないのに、「パイスラ」という言葉があることで他者から意識されてしまったり、自らも意識せざるを得なくなるのです。ショルダーバッグは全くもってエロいアイテムではないはずなのに、これを使用することでそのような目線にさらされることになりかねません。これは、誰かしらが自然発生的に言い出したことだと思うので、どうしようもないことです。

しかし今回の「#ラブタイツ」はアツギ社の企画なので、アツギ社が発信者です。つまり、そこに描かれた絵は、アツギ社の見解であり視点なのです。

 

この炎上は、

“タイツをはいた女性をエロい目線で見ている人”が嫌なのだと訴えているのではありません。

“タイツをはいた女性をエロい目線で見ることを肯定しているアツギ社”がキモいのです。

(※これらのイラストに罪はないと思いますが、“タイツをはいた女性をエロい目線で見ている人”が嫌な人も多くいます。ここでは、今回の炎上の原因についてお話しています。)

 

・・・アツギ社にとってタイツはフェチを満たすアイテムだった?

 

お前ら、そういう目線でタイツ作ってたんか・・・!

という衝撃。

企業姿勢そのものが一気にキモくイメージダウンしてしまいました。

これが炎上の核となる理由だと考えます。

 

 

と、ここまでを午前中書いていて、

この後に広告業界と企業SNSに関するよもやま話を書こうかなと思っていたのですが、

夜になり気づいたらこの炎上によりアツギ社が謝罪文を出すところまで膨れ上がっていました…!

すごい。やはりそれほどの嫌悪感だったのだなと実感。

 

 まぁ、あんな企画がギリギリ許されると思っていたあたり(許されると思っていたから実行したわけで)、ジェンダーに関する意識が低すぎるのは否めないです。

ただ、男性目線のような表現ではありますが、女性ターゲットの商品の広告担当者の傾向からして、女性担当者の可能性も十分にあり得るかと思います。

あそこまでの表現が上長承認を経て実行されてしまったあたり、“際どいけど女性発信だから良いのではないだろうか”という甘さがあったのではないかという推察もできます。

むしろその線が濃厚かも。いくら男性の力が強い会社だとしても、昨今あのような表現をすることは極力避けると思いますし、女性向け商品の女性担当者って、なぜか発想が男性化する傾向があるのです。

以前、女性向けアパレルの仕事をしていた頃、数々の女性担当者と仕事をしましたが、男性のような目線で自社商品や、自社商品を着るモデルのことを語り、愛でる人がいました。可愛いとかエロいとか。文字にするとニュアンスが伝わりませんが、男性的なイメージで発するのです。「こういうのが良いんでしょ?」と言わんばかりの、女性に対する上から目線な感じ。一人称が「俺」になる始末。時にちょっと気持ち悪かったです。これについては少し思うところがあるので、またいつか考察を書きたいと思います。

 

 日本は(私は主に日本のことしかわからないですが)、ナチュラルな女性軽視が横行している社会です。

「男女不平等はない」と言い張る方もいますが、それは気付いていないだけです。

ナチュラルな“と書いたのは、気付けないほど自然に、当たり前に日常生活に溶け込んだ女性差別だからです。男性のDNAに組み込まれているといっても過言ではないほどに。さらには、男性に感化されてなのか、それともこちらもDNAに組み込まれているのか、女性までもが同じ女性を軽く見てしまったりするのです。

そう簡単にそれが改善できるとは思っていませんが、今回このようにきちんと炎上してくれたことは、この”ナチュラルな女性軽視“が顕在化し、言語化されてきている兆しなのかなと思います。

 

 女性が…女性だけでなく男性も。どちらかの性を嫌悪したり蔑んだりせずに、「みんな」が尊厳をもち生きやすい社会に。

そんなことを思うタイツの日でした。